「愚者は教えたがる」パターンの格言における出典の不確かさ

あきまんさんによる、「アドバイス罪」に関するツイートをまとめたtogetterを読んだ。僕はあきまんさん派、というか、本人がイヤだと言ってるのになんでアドバイスするんじゃい派。

で、アドバイス罪はともかく。

「無知なやつほどアドバイスしたがる」、という文意をもつ格言がいくつかある。あるんだけど、出典がよく分からないものがあるのだ。

「愚者は教えたがり、賢者は学びたがる」の出典

「愚者は教えたがり、賢者は学びたがる」というの格言はよく目にする。これの出典が分からない。ロシアの作家チェーホフが言った、ということになっているようだ。

英語版の「The wise love to learn, while fools love to teach.」というのも見つかったが、Google検索の結果を見る限り、これは日本だけでしか流通していないようだ。つまり、日本語を英訳したものらしい。

ロシア語で Антон Павлович Чехов Дураки дидактические. と検索してもよくわからない。そもそも、この検索語も機械翻訳でひねり出したもので怪しいのだが。

チェーホフのどの本に載っているかご存じの方はいらっしゃいますか?

追記 2014-03-31

Twitterでチェーホフ研究者の方に教えていただきました。ぶしつけな質問にも丁寧に答えていただき感謝。まだ原典にはあたることができていないのですが、チェーホフ自身が考えた言葉ではないようです。

ロシアでのことわざの由来も調べようかと思ったのですが、ロシア語まったくわからんちんなので挫折。

「賢者が愚者から学ぶ事の方が、愚者が賢者に学ぶことより多い」の出典

これは、ミシェル・ド・モンテーニュ「随想録(エセー)」のⅢ-8にあるようだ。

Wikisourceで原文が入手できる

que les sages ont plus à apprendre des fols, que les fols des sages

Google翻訳で英訳すると、The sages have more to learn from fools than fools from wise. なるほどそれっぽい。

原典を読むと、この部分はモンテーニュ自身による発言ではない。「vieux Caton(Cato the Elder/大カトー)」という人の言葉を紹介しているだけなんですね。これをモンテーニュ発の格言と言うのは正確さを欠くと思う。大カトーえらいよ大カトー。

「学識のある人は学びたがり、無知な人は教えたがる」

これは、フランスのエドゥアール・ル・ベルキエによるものとされている。しかし、そもそもエドゥアール・ル・ベルキエって誰よ。人すら特定できないググり力の弱さ。「禁句家」と添えられている場合もあるけど、禁句家ってなんだろう。あれか、Twitterのプロフィール欄に「毒舌注意」て書いてそうな人のことか?

これについては、英語で探せば原典が見つかるよ!と言っている人がいるところまでは確認。しかし、ベルキエのつづりが分からない。

「人間の病はね、人にものを教えたくなることだよ、人の教師になりたがることだよ」

はてなid:rider250さんによると、孔子も似たようなことを言っているらしい。

今頃何言ってんの?これだから教養のない人は...孔子が言ってるだろ「人間の病はね、人にものを教えたくなることだよ、人の教師になりたがることだよ」と。2000年以上昔の言葉だぜ? 罪じゃねーよ、病だよ。 http://b.hatena.ne.jp/rider250/20140314#bookmark-186336914 より引用

これも見つけることが出来なかった。教えてid:rider250さん!と言ってもはてなブログ・ダイアリーじゃないのでメッセージ届かないのだけど。

「にわかな奴ほど語りたがる」

高林哲さんというITエンジニアの方が、いやな法則として発表したものです。

詳細な解説を行ったブログのエントリも存在します。

他の例と比べて異なっている点として、愚者ではなくてにわかである点です。賢者であっても、にわかとなりえます。よって、当該ブログエントリでは、ポジティブな利用例も挙げられています。

一方、知人は「論文は少しでも成果が出たらすぐ書き始めるに限る。しばらく経つとぼろが見えたりしてどうでもよくなって、書かなくなるから」という習慣を確立して生産性を高めていました。こちらは「にわかな奴ほど語りたがる」のポジティブな応用例と言えそうです。

まとめ

上記の出典が分からないものリストについて、書籍名(とできればどのセクションに書いてあるか)を教えてください!

似たような格言で、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)とかはすぐ見つかるのになあ。

ビスマルクの格言で一番好きなのは、「ソーセージと法律の作り方を知る人は、もはや安眠することが出来ない。」です。ソーセージ!大どろぼうホッツェンプロッツ!