アメリカのホテルでハウスキーパーにチップを払うかどうか(いわゆるピローチップ問題)

アメリカに住んでいて、ヤード・ポンド法とチップは早く滅亡しないかな〜、と思うことがある。

レストランで何も問題が無かった場合に払うチップの最低額は15%と言われている。

チップは税抜の額をもとに計算する派の人もいて、カリフォルニアの消費税は9%なので、税込み前の15%を計算するために、/ 1.09 * 0.15を計算する人もいる。

消費税は9%なので、その2倍は18%。計算が楽なので、その額をチップにするという人もいる。

合計額をキリのいい数値に合わせたりする人もいる。

などなど、けっこうみんなチップの流儀が違って面白い。

アメリカのホテルで泊まったときに、ルームクリーニングやベッドメイキングをしてくれるハウスキーパーにチップを払うかどうか、という質問がある。日本人では払う人が多いようだ。

僕は、部屋を汚したり、ゴミが多かったりなど、特別な事情がない限りはハウスキーパーにチップを払わないようにしている。stiff!!!! (チップを払わないという動詞)

各種調査

チップに関する論文を出しまくってる、コーネル大学ホテル経営学教授のMichael Lynnという人がいる。

彼の論文であるBlack-White Differences in Tipping of Various Service Providers (2004)は、黒人と白人でチップの支払い行動がどう違うんや、というもの。TABLE 2によると、黒人・白人とも3割はHotel Maidにチップを支払っていない。

HuffingtonPostとYouGovの調査によれば、Housekeeperにチップを支払うのは46%、支払わないのは32%、残りはそういう状況を経験したことがない。

チップが収入に占める額

チップが収入に占める割合から分析した記事がある。

ウエイターが稼ぐチップをラフに計算してみよう。朝食が30ドルとすると、相場が15~22%なので、チップで支払われるのが4ドル50セント~6ドル60セント。5ドルとした場合、1人のウエイターが15人を担当して75ドル。朝なら2回転はするから150ドル。ウエイターは朝の3時間程度の時間で150ドルのチップを稼ぐことになる。

一方、ハウスキーパーは部屋の掃除に30分程度は時間をかける。枕チップで2ドルあったとしても、1時間で4ドル。3時間でも12ドルにしかならない。ウエイターの150ドルとは大きな違いだ。この差をなくすために、ハウスキーパーの基本給はウエイターのそれよりもかなり高く設定されている。

僕がこの記事から言えるのは、「ウェイターにはちゃんとチップを払おう」ということだけ。

マジメな日本人

Yahoo!知恵袋の質問・回答で面白いものがあった。

回答について、事実関係の信憑性が高いとは判断してない。

枕の下に置きはしないにせよ、アメリカ人でチップを置く人はそれなりにいるわけで、日本人だけの習慣ではない。

けど、「ガイドブックに書いてある、必要ないと言っても信じないどころか、不満な顔をされたりすることがあるので、わざわざ苦情の原因になるようなことをしたくない。」というくだりは情景が想像できる。

stmc90405さん

私は、アメリカ在住です。アメリカ人の友人、知人、数人に、このことを訊きましたが、みんな、「アメリカには、枕の下に、チップを置く習慣なない。」と言っていました。アメリカの旅行サイトで、「日本では、ホテルに泊まったら、枕の下にチップを置く習慣がある。」と紹介しているのも、見たことがあります。恐らく、日本人の海外旅行が、まだ稀だった頃に、JALパックかJTBが、勘違いをして、客に指示しだしたのが、定着したのだと思います。

これをするのは、日本人だけです。アメリカのホテルのハウスキーピングの人達は、日本人が泊まっている部屋に行きたがるそうです。そこで、公平になるように、日本人が泊まっている部屋に交代に担当するようにしているホテルもあるそうです。私は、ロサンゼルスで、以前に日系の旅行会社で働いていて、ホテルのセールスの人から、この話を聞きました。

そこで、私は、ガイド数名に、どうして、こういう間違った案内をし続けているのか、訊いたことがあります。いくつか理由がありましたが、『日本のガイドブックにそう記載されていたり、最初に旅行した際に、添乗員から言われたりしていて、そう信じているから、必要ないと言っても、「ガイドブックにそう書いてある。」と言われる。訊かれたら、必要ないと言うけれど、訊かれてもいないのに、そう言っても、信じない所か、不満な顔をされたりすることがあるので、わざわざ苦情の原因になるようなことをしたくない。』そうです。「添乗員が付いているツアーだと、添乗員が要ると言っているのに、ガイドが要らないと言うと、添乗員の顔をつぶすことになり、仕事がし難くなるから、言わない。」と言ったガイドもいました。「折角勘違いしているし、$1や$2のチップを置いておいたら、丁寧に掃除をしてくれて、苦情になり難いから、そのまま勘違いさせておいた方が良い。」と言うガイドもいました。

「チップが必要」と回答している人達は、皆さん、旅行者として、アメリカに来て、添乗員やガイドから、そう言われたという方ばかりで、アメリカ人から、こう言われたという人は、いないですよね?アメリカの、旅行業界の人は、日本にそういう習慣があると思っている人が多いですよ。完全な勘違いです。それにしても、ピローチップなんて言葉まで、よく考え付いたものですね。感心します。

musashiatsushiさんの回答は、オーストラリアで日本人客がチップを払う文化を根付かせたと主張している。

下記サイトによれば、たしかにオーストラリアではほとんどチップを払わなくてよいようだ。素晴らしい。

musashiatsushiさん

以前、ニューヨーク、ロスで、日本を代表する商社、銀行人達にきいたところ、90%以上の人が、特別時以外は渡さないといっていました。 中には、会社上層部の人が来る時には、事前にしかるべき各箇所にまとめてチップを払い、つつがなくもてなすようにするという所もありました。

観光業者の人は、異種同業ですし、今後の仕事をやりやすくするためにもお客にチップを案内します。 チップを置いておくと、部屋の掃除や備品の補充が良くされていたり、忘れ物を取っておいてくれたりすることもあります。

オーストラリアの例ですが、20数年前、突然オーストラリア旅行ブームが起き、まず日本の大手ツアー会社が進出してきました。 現地の事を何も知らない彼らは、ハワイの例を見て、ガイドブックやツアー客にチップ案内をしたため、以前はチップ制度のなかった オーストラリアに、少なくとも日本人の間ではチップ制度が根ずいてしまいました。

その後進出してきた中国の旅行社は、日本のマニュアル、ガイドを参考にしたため、今でもチップを渡す中国ツアー客は多いです。

私の狭い知識からで間違いかもしれませんが、東部ボストン、フィラデルフィア辺りの旧家、名家の人達は非常に質実剛健で派手なことは一切せず、チップをやりたがるのは、むしろカリフォルニア、テキサス、ニューヨークあたりの成金さんとの印象があります。

ホテル側の言い分

もちろん、ホテル側としてはチップを払ってほしい。

ホテルチェーンのMariottは、"The Envelope Please" という、チップと感謝の言葉を残すための封筒を置く運動に参加している(2014)。

American hotel & lodging associationによるAH&LA LAUNCHES GRATUITY GUIDEでは、チップとわかる封筒に入れるかメモを添えて、ひと晩ひとりあたり$1から$5置いておいたほうがいいんじゃね、と言っている。

僕の行動基準

「体育会系の部活で、下級生だったとき上級生からシゴかれたから、自分が上級生になったら下級生をシゴく」という伝統をオレの代で絶つ的な、悪しき伝統を絶つ!という意識のもとで行動しているので、通常レベルのホテルで特に事情がない場合は支払わない。

床に水こぼしてタオルで拭いて補充量が多くなったとか、ゴミが多いとか、ベッドの上でポテチ食ったとか、何か特別なお願いをするんだったらチップを払うようにしている。

チップを渡す場合には、以下のようにしている。

  • お金の置き忘れじゃないことをメモなどで明示して、そこに感謝の言葉を添える。ハウスキーパーも泥棒だと疑われるリスクが減るし、ありがとうは無限の価値やし!!!!! ホテルによっては専用の封筒があるので、そこに。
  • 毎日払う。担当がずっと同じわけでもないし。
  • 額は自分で決める。目安はモーテルで1ベッド1晩$0から$2、普通のホテルで1ベッド1晩$1から$2、高級ホテルだと1ベッド1晩$3から$5と言われているけど、払いたいだけ払う。宿代のパーセンテージで決めてもいい。

せっかく渡すんだったら、義務感ではなく、気持ちよくチップ渡したいですよね。

とくに、現金の持ち合わせが少ないときは、無理してハウスキーパーにチップを払うことはない。ただでさえストレスがたまる海外で、「ああー両替しなきゃ」って思うのつらいですよね。払わないか、払うんだったらポンと$20でも払っちゃうといい。「宵越しの金は持たねぇ」ってね。宵、越しちゃってるわけだけれども。